二卷
津阪孝綽著
此書は、亡友齋藤次郎(拙堂翁の嫡孫)君の藏本を借りて謄寫せしものにして、原本は葛原詩話の版本の欄外に細楷もて書き入れあり、思ふに拙堂翁が津阪氏より借りて書手に筆記せしめられしものならん、その書き入れは、第二卷の終りに止まりたり、第二卷の坪の條に、「第四卷ノ標記ニ見ハル」とあるに据れば、第四卷即ち詩話の正篇全部に渉りて糾謬を作られしことは明なり、余は後の二卷を得んとして、往年よう種々手を盡せども、終に得る能はず、勢人馬場龜久生君を煩はし、有造館書目及び津阪氏著書目録を檢するに、并に糾謬を載せず、是れ其の稿本は既に散逸し、纔に齋藤氏の家に保存せられしものなり、故に後の二卷を得んとするは、河清を待つに均し、故に現存二卷のみを茲に上梓すること丶せり、此の書はもと標記と名づけたることは、上に引きたる語にて明なり、糾謬と名づけたるは、夜航餘話に見えたり、餘話に又た糾謬數條を擧げたり、語句頗同じからず、且つ後篇に及べり.葛原詩話ノ著者六如其人は學問該博を以て自ら許したるも、津阪氏は「六如は學殖菲薄にして頗る粗淺の誤あり」と言へり、今此書は一々六如の誤謬を指摘し、例を引いて之を證せり、前卷に收めたる浸�敬所翁の著と共に葛原詩話を讀むには必參看せざるべらざる書とす。
著者の傳は、本叢書第二卷夜航詩話*の解題に見ゆ。
葛原詩話糾謬.pdf
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