2006年06月27日

空海『文鏡秘府論』

文鏡祕府論
六卷
釋空海著
此書は、我邦に於ける詩文話の最古なるものにして、書中概ね四聲を論じ八病を擧げ、或は格式を論じ、或は體裁を辯ず、我邦韻鏡の學、實に此に起れり、弘法大師嘗て嵯峨帝の問に答へて、天子聖哲と奏せしが如き、言々皆韻に協はざるものなし、顧ふにその入唐の時に當りて、名公鉅卿より直ちに傳授を得しものならん、市川寛齋の半江暇筆に曰く、『唐人の詩論、久く專書なし、其の數.載籍に見はるゝも、亦僅々晨星の如し、獨我が大同中に、釋の空海、唐に遊學し、崔融の新唐詩格、王昌齡の詩格、元競の髓腦、皎然の詩議、等の書を獲て歸る、後ち文鏡祕府論六卷を著作し、唐人の巵言盡く其の中に在り』と、是の編一たび世に出でゝ、唐代作者の祕奥發露せられ、殆んど遺す所なし、洵に雲霧を披きて青天を覩るの概あり、實に文林の奇籍、學海の祕〓と謂ふべし、卷を分つこと六、天・地・東・南・西・北・の六字を以て符號とし、一卷二卷といはず、其の自序に、謂ふ配卷軸於六合、懸不朽於兩曜、名曰文鏡祕府論と、著作の大旨も亦推すべし、編中に引く所の詩句、往々全唐詩に載せざるものあり、是れ亦入唐の日に見し所の各家の集、今の本と異るものあるなり。
此書、舊本誤謬極めて多く、往々讀むべからざる所あり、今嚴に校訂を加へ、文選及び唐代諸家の詩句を引けるものは、一々之を原書に參し、其誤れるものは之を正し、その闕けたるものは之を補ひ、其の兩可にして、適從する所を知らざるものは、姑く舊文を存して、異文をその下に注す、舊本、正文の旁に異文を録せるものは、今悉く之をその句下に注せり、更に 帝室の御藏に係る高山寺舊藏の古寫本を借りて之を校し、一々その異同を注せり、尚又、山田永年氏の活宇印行に係る文筆眼心抄をも參考せり、帥ち抄と書せるもの是れなり、凡そ新に注するものは必ず一小圈を施し、以て原注に別てり、但し此書按了の後、更に異文あるを發見するものは之を欄外に掲ぐ、其の語繁にして欄外に收むる能はざるものは、校補として卷末に載せたり、斯く校訂に意を用ふれども、本文の意味不明の爲めに翻譯を誤れるもの多しと信ず、讀者幸に之を指摘せらるれば幸甚。
文鏡秘府論1.pdf
文鏡秘府論2.pdf

天卷
 調四聲譜
 調聲
 詩章中用聲法式
 七種韻
 四聲論
地卷
 論體勢等
 十七勢
 十四例
 十體
 六義
 八階
 六志
 九意
東卷
 論對
 二十九種對
 筆札七種言句例
南卷
 論文意
 論體
 定位
 集論
西卷
 論病
 文二十八種病
 文筆十病得失
北卷
 論對屬
 帝徳録
posted by うわづら文庫主人 at 09:50| Comment(3) | TrackBack(0) | 詩話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
東京駅内の書店で「空海 人生の言葉」川辺 秀美【編訳】を読み、空海の「文鏡祕府論」を探していました。ここにあった!と感謝です。ありがとうございます。

Posted by いのかめ at 2010年12月28日 01:02
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/819284/3
こちらでも読めますよ。
Posted by うわづら文庫主人 at 2010年12月28日 01:35
文鏡秘府論、現在、新刊では入手し難い状況です。
我が国の文学の源泉といわれながら、この状況は理解できません。
貴文庫のおかげで、閲覧する機会を持つ事が出来ました。
ありがとうございます。
Posted by 二葉屋優 at 2011年10月17日 18:48
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