2006年08月22日

錦文流「熊谷女編笠」寶永三年

熊谷女編笠.pdf

熊谷女編笠
五册 錦文流作 寶永三年刊
錦文流は西澤一風、都の錦、月尋堂、北條團水等と共に、西鶴の各方面をそれ/\に傳へて、江島其磧の代表する八文字屋本への時期を繋いだ作者の一人で、大阪座摩社の邊に佳み、俳諧を西鶴に學び錦頂子といふ。「風流今兼好」「棠大門屋敷」「當世乙女織」「好色手柄咄」等の小説を作り、また淨瑠璃「本海道虎石」等數種あつて、櫻塚西吟、西澤一風と共に淨瑠璃三傑と呼ばれた。未だその傳記の詳しきを得ない。
 「熊谷女編笠」はその序にいふ如く、寶永三年六月七日京都立賣堀にあつた女の敵討一件に趣向をとり、秋に至つて出版した際物小説で、卑猥な文字は弄しながらもその教訓ぷりはやゝ眞面目らしく見え、淨瑠璃の手法を以て、寫實を離れ屡々陳套な七五調を用ひ、「堀江川のほたる狩り」(卷之二、第三)に鬘をかけて女に化けた男がある夜取り違へて婆形の鬘をかけた爲めに見現はされる條等の如く、如何にも低級な讀者の笑を求めた。
 只西鶴を繼承した淨世草紙に新機軸を出さうとした苦心は、巷談を潤色して一編を通じた趣向を立てさせ、こゝに太平の世に珍らしい女の敵討を脚色してその始末を詳しく書くのであつた。又この事件を扱つたものに、これと時を同じくして出た森本東烏の「京縫鎖帷子」があり、「熊谷女編笠」にもよつた跡の見える近松の淨瑠璃「堀河波鼓」がある。

 この書寛政九年再版された。

http://uwazura.seesaa.net/article/22658319.html
posted by うわづら文庫主人 at 12:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。