2005年03月15日

橘純一「竹取物語の再檢討」(岩波講座日本文学)

  目次
國語學的檢討
  一 本物語の句の長さについて
  二 本物語中の「なむ」「ぞ」「こそ」の三張辭について
  三 本物語の和歌の段落法について
第二 素材を觀點としての本質檢討
  一 本物語と羽衣説話
  二 本物語と長者傳説
結語

平安朝の散文學の文章は、源氏に至るまでに大略三遷してゐると考へてよからう。即ち第一期は、ロ誦文藝的檬式を全く脱却するに至らなかつた素朴時代で、解説的敍述と寫實的描寫とがまだ十分に分科して居らぬ。竹取物語の文章は大體此の段階に屬するものとしてよからう。第二期は、敍述と描寫とが分科し、敍述の部分は、解説的態度から一歩進んで、更に事件全體を包む情調を表現する傾向を持ち來り、描寫部は忠實な平面描寫となつて來る。伊勢物語は、歌物語としての性質上、描寫と稱すべきものは見られないが、敍述に情調意識が加はつて居る點、第一期から第二期への過渡的作品らしき俤がある。落窪・空穗は正に此の第二期に屬する作品であらう。第三期は源氏によつて代表せられる心理描冩、情調表現に重點を置いた優婉精緻なる表現様式の高潮に逹した時代である.、私は以上の文章發達段階の想定の上に立つて、竹取に、現存物語中の最古の位置を與へんとするものである。



此の章で述べた所をまとめていふと、「なむ」「ぞ」「こそ」三強辭の使用といふ點に着眼して、竹取伊勢兩者を比較すると、たしかな事はいへないが、竹取の方が、三強辭の使用總數に於いて少い事、又「こそ」が詞の内にのみ用ゐられてゐるといふ點に於て、伊勢よりは文章として古色あるものとすべきであらう、といふに歸する。


tatibana_taketori.pdf
posted by うわづら文庫主人 at 01:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 国語学論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。