目次
一 前書き
二 生涯(一)
三 生涯(二)
四 生涯(三)
五 生涯(四)
六 生涯(五)
七 業績
八 人間
九 母・師・友
十 後書き
略年譜
第九章より。
アメリカでの野口の友として、星一と堀一郎の兩氏の名を出して置かねばならぬ。星氏との交友成立の經過などを私は知らない。同じ福島縣の産ではあるが、星氏は磐城の海岸筋の出であつて、同郷關係はない。兩人の親交はフヰラデルフヰアで始まつてゐた。既に在米久しかつた星氏がフヰラデルフヰアを通つて、異常な日本人として知つたのであらう。歸國して藥業者としてめきめき霸をなした星氏は、野口への援助に勉めた。華かな母國訪問の費用は星氏の手から出たことは前にいつた。チフスで療養長日に亙つた折の費用でもさうであつたといふ。更に前記のエックスタイツが傳記を書く爲めの渡來の路用は星氏が辨じたもので、『野口』が出來たこと、あれだけの資料を盛つたものを書かせたことは、星氏の賜なのである。恩賜賞金で田地を購入した際にも、星氏の出金があつたと聞いでゐる。金錢問題を書き續けたが、私がいはんとするのは、金錢のことではない。友交の情味である。星氏の野口への親愛が、同氏の經濟状態を通じて現らはれた現實に外ならないのである。
koizumi_nogutihideyo1.pdf
koizumi_nogutihideyo2.pdf

