2005年02月18日

橋本進吉「三百餘年前の日本の方言に關する西人の研究」

 われ/\の祖先は千二百年の昔から、辺僻の地の異風な言語味を感じて、その詞を歌に詠じ、又東タ〔土垂〕の土民の歌を集めて記録にとゞめた。平安朝鎌倉時代の歌学者は、たま/\耳にした田舎詞によつて難解の歌語を釈して、古語が田夫の口に残れる事を説き、室町時代の能楽師は、遠国の発音が京洛の正音に背馳する所あるを見て、謡に訛音を用ゐる事を誡めた。かやうに我が国民の方言に留意しためはかなり古い時代からではあつたけれども、唯方言に対して好奇心を動かしたのみか、又は之を他の目的に用ゐたのであつて、方言の研究と名づけるには遠いものであつた。
hasimoto_hogen.pdf

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福井久藏「歐米人の日本語研究につきて」

 天主教が我が國に入つてから既に四百年を經てゐる。その傳道をなすにはまづ言語によらねばならぬ。そのかみ葡萄牙から派遣された教士たちは日本語を學び、語彙は勿論、その語法の大に異なつてゐるのを注意し、その考察するところを次第し、ラテン文法の型に從つて我が日本語法の編述を企てた。その第一人者はリスボン生れのドアルテ・ダ・シルワ゛(Duarte da Silva)と云はれてゐる。彼は天文十九年八月十四日一行と共に薩南の種子島に來り、九月七日豊後に着き、印度副王の使命を大友家に傳へた。同二十二年「ゴア」に去つた。在留中我が國語に通逹し、日本語典(Arta da Lingua Japaneza)や語彙書も作つたと云はれてゐる。
(つづく)
hukuikyuuzoobeijin.pdf

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松尾捨治郎「歌學と文法」

 和歌は少數の例外を除いては、其の形式は大體擬古である。古來内容に就いては清新を求めた者も多いが、用語は萬葉、古今、降つても新古今を標準として居るものが極めて多い。萬葉の古調を排し「心はいにしへ言は今」を標榜した景樹さへも現代語で歌をよまうとはしない。例の「おさん出て呼べ行き過ぎぬ間に」などいふのも作歌の用意を示した逸話に過ぎない。從つて歌を作らうとするには古歌が分らなくてはならぬ。古歌を讀解するのに散漫な大意の把握だけでは之を作歌に應用することが出來ない。勢の趣く所歸納的に古歌の用語を研究し、國語學的文法的知識を得ることが歌人に取つて一の重要條件となつた。

matuosutejirokagakubunpo.pdf
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吉沢義則「国語学に於ける萬葉集の位置」

 萬葉集を國語資料として見ようとする場合には萬葉集所載の和歌の用語が當時のロ語であつたか、或は何らかの技巧が加へられてゐるかを考察しなければならぬ。言葉を換へていへば、當時の自然語がそのまゝに用ひられてゐるか、當時の自然語が取捨選擇を經て用ひられてゐるか、單語材料は自然語であつても、その用法に特別な人爲が加へられてゐるか、古語が用ひられてゐるか等が考察せられなければならぬのである。

yosizawamanyo.pdf
(萬葉集講座 第三卷 言語研究篇 昭和八年六月十日)
吉沢義則は1954年没で、著作権は消失している。

『国語説鈴』所収の「萬葉歌人の國語意識」を発展させたものと思われる。
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2005年02月15日

岡島昭浩「「元禄時代に於ける字音M尾N尾の発見――中村てき斎の「韻学私言」――」(1986)

『文献探究』という手書き雑誌にワープロで投稿したものです。83JISの字体が見えます。

フロッピーディスクがただでさえ高価で、そのうえ私の使っていたワープロは専用のディスクを買わねばなりませんでした。2DDで、1500円ほどしたのではなかったかと思います。それで、一枚のフロッピーにしか保存していなかったのにディスクが壊れて、データが消えてしまったのでした。

ずっと放っておいたのですが、この度OCRで再入力しました。潰れているのに意外とよく読んでくれていたので、ちまちまと校正いたしました。
okajima_ingakusigen.pdf
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