2005年02月22日

廣津柳浪「今戸心中」(広津柳浪)

 大空は一片の雲も宿めないが黒味渡ツて、廿四日の月は未だ上らず、靈あるが如き星のきらめきは、仰げば身も冽る程である。不夜城を誇顔の電氣燈にも、霜枯三月の淋しさは免れず、大門から水道尻まで、茶屋の二階に甲走ッた聲のさゞめきも聞えぬ。
 明後日が初酉の十一月八日、今年は稍温暖く小袖を三枚重襲る程にもないが、夜が深けては流石に初冬の寒氣が身に浸みる。

hirotu_imado.pdf


(台東区と文学へのリンク)
posted by うわづら文庫主人 at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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